ブライアン・イーノのプレゼンが頭のいいグルーヴ感であふれてて気持ちいい

ブライアン・イーノがSonar 2016でやったセミナーの書き起こしを読みました。

20160826_brianeno
【Sonar 2016】「遊びとは何か?」ブライアン・イーノ、文化の社会的な役割について語る
https://www.fuze.dj/2016/08/sonar2016-eno.html

いつもの社会とアートを冷静に見つめる視点でとても面白く読んだのですが、物事を分解して、それぞれの部品がどのように作用してあっていて、それがどういう意味をもっているのかを説明する過程が相変わらず頭よくて気持ちいいので、メモ代わりに引用。

私がバルセロナに来たのも奇跡です。エアバスA380に乗って来ました。飛行機には400万ものパーツがありますが、誰かが作っているんですよね。1,500の企業が関係していて、彼らが他の20万くらいの企業からパーツを持ってきた。ということは、おそらくトータルすれば50万人くらいが、その奇跡的なことに関わっているということなんですよ。航空会社だけでなく、空港、他の交通手段、クレジットカード会社、銀行そして何千もの企業や個人がね。

バルセロナに来るという個人の事情だけでも、私の脳は何もしていないのに、知らないうちにいろいろな人が関わっているんです。私たちは、永久的に、この大きくて複雑な、人々の知識の渦の中で生活していくので、個人で脳を使う必要なんてありません。必要なものはそこにあり、他の人のおかげでつながっていますからね。

エモーショナルな理想論の世界に生きるのでないかぎり、現在のコミュニケーションでは数値で考えるの大事ですね。こういう、そのままインフォグラフィックを描き起こせるようなビジュアル感のあるプレゼンってとても気持ちいい。

とはいえ、大先生のことですから最後はアートの重要性を説きます。この書き起こしが優れているのか、もともとの講演からしてこうだったのかはわかりませんが、かなりのグルーヴ感。

さっき言ったように、科学は宇宙がどうなってるかといった物事の仕組みを説明することができます。生活を便利にしてくれるテクノロジーとは、そういうものです。しかし、物事や人の価値観に触れることはありません。人が何を感じて、どう考えるか、それはアートが教えてくれます。一人ひとり違う私たちが、同調してコンセンサスに共感する、そのポイントを作るのがアートです。

アートは複雑なメッセージの塊なんです。触れることで良い時間を与えてもらったと思える、そんなものなんです。

子どもたちを見てください。ずっと遊んでいます。何をやってるか、分かりますか? 想像しているんです。自由に感じて、人の考えを理解しようとしています。

子どもは遊びから学びます。大人はアートを通じて遊び、学んでいきます。そういう意味で、遊び(Play)こそは、私たちがしているすべての中心なのです。それが、私たちができる一番重要なことじゃないかと、私は皆さんに伝えたかったのです。

最後に、私はこのSonar 2016に集まった皆さんはとても重要なことをしていると言いたいです。このことを、真剣に考えてもらいたい。そして、必死に守ってほしい。イギリスでは、遊びがどんどん重要じゃないことになってしまっています。私たちは、良いこと、価値のある何かをやっているんです。皆さんにはそれを続けてほしいですし、守ってほしいです。

素晴らしい。