ドーデー『最後の授業』

この話が教科書からなくなったのは、アルザス地方の言語状況に事実誤認があったからでした。アルザス・ロレーヌは実際にはドイツ文化圏であったということです。フランス語はいわば強制的に教えられていたということですね。したがって、母語(なぜ田中氏は母国語ではなく母語という言葉を使っているのでしょうか?) としてのフランス語を奪われるという悲しさは、アルザスにおいてそれほど現実的だったとは言えない。ドーデー自身も非常な愛国者で、ドイツに対抗するためのナショナリズムの高揚を目的に、このような小説を書いたのだろう。彼の息子レオンは、1899年から第二次世界大戦にかけて アクシオン=フランセーズという右翼団体を結成していた。でもアメル先生の言葉は普遍的な正しさをもっているように思われる。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/zep/sekaisi/jyugyou/france.htm
今知った衝撃の真実。「実際にはドイツ語圏だった」って……正反対だとおもっていた!事実と照らすと、すでにドイツ語で育っている子供たちに対してフランス語を教える、という授業ができなくなるという文脈だったのであった。単なる事実誤認やフィクションでもプロットとしては成立するけど、教育に使うにはややこしくなってしまうわな。