Ping雑感

「Pingがそのうち来るのかもしれない」というのはわかるけど、いまのところの、サムアップする対象が音楽商材限定、しかもiTunes Storeで扱っているもののみ、という仕様はとっても退屈だ。たしかに音楽を嫌いという人はあまりいないだろうけど、音楽を題材にしたコミュニケーションは「曲を好きかどうか」に収束できてしまうことが多い。「この曲どう?」「ああ、いいね」「いや、あんまり好きじゃないかな」といった会話につづく言葉がどれだけあるだろう?「今度ライブあるんだよ」「こないだテレビ出てたね」とは言えても、「リミックスの方がよかった」「Aメロとサビの加減が」とまで言う人はあまり多くない。Pingは今のサービス形態のままではハジけないだろう。

ただ、AppleがPingに取り組むのは戦略としてすこぶる正しい。iTunes Storeは「一方で音楽ダウンロードサービスの乱立があり、一方でHuluやNetflixがあり、もちろん当然のようにGoogleやAmazonもいる」という市場で戦っている。ダウンロードサービスは参入障壁が低くランニングコストも抑えやすい反面、本質的に付加価値を持たせにくいものだし、他のサービスへスイッチされてしまうリスクだって非常に高い。だから、ユーザーが一番捨てにくそうな「他人とのつながり」をサービスに組み込むことで、居場所感を演出しながら「まあ、ここで買っとくか」という判断に誘導しようとするわけだ。

そのうち、アプリや映像コンテンツや書籍もPing対応されていくだろう。もしPingが隆盛を誇る時が来るとすれば、それはコンテンツのダウンロード購入がいよいよ「ふつうのこと」になったということだ。そのころにはiTunesじたいが今の形態じゃなくなっているかもしれないが。

20101112

ま、いまんとこはこうなわけだけど 🙂

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(追記) とか言っている一方で、PingとTwitterのアプリ連携が発表されていた 🙂 当面のところPingを「会話する場所」にすることは諦めて、「会話のネタ」としてもらえるようなDBとしてやっていこうという判断なんだろう。Pingがソーシャルメディアとして化ける可能性はちょっと下がっちゃったかな。