for the good of us all.

LiveSTRONG リストバンドは大きな敬意を持って接せられているようだ。しばらく見ていなかった LiveStrong.org を見たら、癌の種類ごとのポータルが出来上がっていて、症例から治療法のガイダンスまでが掲載されている。単に理念に収束することなく、経済的な対処法、精神面のケアにいたるまで。
癌には不見識な私だが、はたしてここまでの価値のある IT の成果物に出会ったことがあるだろうか、と圧倒される。以前某県の県立病院に取材に出かけたとき、秘めたる使命感をもった医師の姿にある種の崇高さを感じたものだが、このポータルの着々とした歩みにもそれと似た感情を抱いて、ぐっときたのである。ひるがえって自分たちのやっていることは、自分たちの利益を増やすこと以外に何がある?と考えさせられるわけだ。
いみじくも私は「見識や意識は非常に高いものがあれど、一般のビジネス作法には難がある」と苦言を呈されることもあるが、そりゃね、仕事をすることで幸せになるのが「こちら側」だけ、というのがわかっているような案件だったら、萎えたりもするもんさ。たとえば私は以前からずっと思っているのだが、サッカー選手が一本のパスで与えられるファンタジーの総量は、果たしてどれくらいなのか、と。ひるがえって私たちの仕事には、どれだけの人がファンタジーを見出してくれているのか、と。
今私たちのやっていることが、いったい誰のためになるのかと考えることを、常に忘れてはいけないと思っている。
ところで前々から気になっていたこと。アメリカ嫌いが伝えられているチェルシー選手、フランク・ランパードがしている青色のリストバンドは、Think BLUE 2008 というものであった。これはこれで……実は非常に深い。ここに刻まれている「2008年11月4日」というのは、もちろんが次のアメリカ大統領選挙の日付であり、「Think BLUE」が何を指すかといえば、あの青と赤で分けられたこないだの大統領選挙支持層分布の、非ブッシュ支持(あえて民主党支持とは言わないでみる)州をさすものだ。アメリカなあ……。
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「自分たちの周囲で、戦争に賛成している人なんて誰もいない、それでも僕たちの国は、戦争を始めてしまっている。こうした奇妙な雰囲気を言葉にしたものが、 “It’s All Around You” なんだ」と語っていた Tortoise の面々は、やはりケリーに投票したのだろうか。
そういうことを考えていくと、やはり自分が今暮らしている日本という国について考えが展開せざるを得ないのだが、あいにく私は、右にも左にもよることができず、「つうか結局戦後のアメリカ庇護の上にある繁栄でしょ」という思いが主軸にあり、私たちの自立とはなんだろうか、あるいは、アメリカの庇護を一切今後放棄することができるのだろうか、などと、どうにも答えの出しようがないことをつらつらを考え始めてしまうのである。