Posted on 2006/04/27, 11:00 PM, by FineTime, under
Excursion.
音を聴いたことがないのにライブを見に行く、ということはあんまりしない私ですが、せっかくなのでFourTetがSteve Reidというジャズドラマーとコラボレーションしているというライブも見に行くことにしました。ヘッドライナーもその他のゲストも、全然わかりません。FourTet名義ではたくさん聴いているけれど、一度六本木で見たショウはコンソールの前でウニョウニョした音をいじっているだけという印象で途中で寝ちゃったし、あまり過剰な期待はせずに。
King’s CrossのすぐそばにあるScalaは、外から見るに結構なキャパシティのようです。壁に貼ってある今後のラインナップをみると、規模もブッキング方針もリキッドルームに近い感じでしょうか。そういえば昨日のBattlesのギグで「Scalaでどうのこうのでー」と話している人たちがいました。入り口のセキュリティはちょっとものものしい。映画のこういうシチュエーションだとかならずいる、スキンヘッドでロングコートでごっついおっさんもいます。案の定、カバンの中に入っていた水をおっかない顔で没収されつつ入場。

King’s Cross Interchange
で、何が出るのかさっぱりわかってなかったのですが、最初に登場したのはドラム、サックス、ウッドベースという3ピースのインプロ系フリージャズ。なかなかにパワフルでかっこいい。かっこいいですが、いかんせんインプロゆえにビートのノリが一定ではないので、テンションの合わせ方がなかなか難しい。結構な混み具合でもあり、フロアは不思議な間合いになっていました。
次に登場したのはギター轟音ドローンな、クラウトロックのフォロワーという感じのバンド。低音なボーカルも入れてるようですが、端のほうにいる私からはよく見えません。ところどころに「おおー」とくるところもありつつ、いよいよヘッドライナーの登場です。
Kieran Hebden and Steve Reidは、2名がステージ上で向かい合うセットのようです。左がスティーブさんのドラム、右がキーラン君のコンソール。スティーブさん、ものすごくうまいのは見ててよくわかりますが、それ系ミュージシャンによくある「演奏中にチャネリングを開始してとても面白い表情になる」型のプレイを見せます。ロックっぽくドカーンとくるんじゃないけれど、緩やかにうねりつつ持っていかれる音でなかなか面白いです。
ところでフロアの様子。眉毛太いいかにもイングランド顔の奴と眼が合います。
「なんとかかんとかPlaying?」(聞き取れず)
「え?」
「なんとかかんとかPlaying?」(聞き取れず)
「あーごめんわかんない」
そっちに気をとられていると、私の脇にいたギャル2名のノリがかなり激しくなってきています。ん?と注意をそちらに移すと火の粉が飛び散っているー。ていうかね、別に好きなようにすればよいと思いますが、お前ら吸い過ぎ。火ついたまま振り回すんじゃねえって。そうかこの盛り上がりはある意味それかあ……と日本ではあんまり見ない光景に、ちょっと狼狽もしつつのひとときでした。
Posted on 2006/04/26, 10:00 PM, by FineTime, under
Excursion.
おもえばそれまではてなダイアリーにあった私のブログをここに移そうと決めたのは、渋谷でBattlesのライブを見て帰ってきた日でした。およそ1年半ぶりに、彼らのライブを見に行きます。彼らを最初に見たころは、EPのリリースごとにレーベルが変わっているような不安定さでしたが、今は本拠地ニューヨークからロンドンへ移動、Warp Recordsのアーティストになっています。
シェフィールドで誕生したWarpもロンドンへ移転した経緯をもっていますが、実はこの道中、シェフィールドではスヌーカーのチャンピオンシップが開催されていて、BBCが連日長時間放映しています。外出せずともホテルでテレビ見てても十分楽しめる、という日々が続いて、これはうれしい。
Battlesのライブは、ロンドンのカムデンタウンというところにある”Dingwall”というライブハウスだそうです。PCを持ってない私、さてそれはどこにあるんでしょう、というところからすべては始まります。というわけでロケハンに出発。

ガソリン高いですねえ
カムデンタウンは、東京で言うと下町系、出店屋台たくさん出てます人たくさんいます系の地域のようです。ただ、ライブハウスの名前、限定的な住所と何種類か持っていたロンドンの地図を手に歩き回ってみると……どうにもほかの地域では感じなかったバイブを感じます。髪が紫色ないかにもロンドンパンクないでたちのみなさんや、黒人軍団がたくさんたむろっている、といった様子がほかと違うのでした。マンチェスターもチンピラの町って感じでしたが、あちらはなぜか眼の回りのみ顔色悪い系が中心だったので、一番近いのは私の知る限りではニューヨークでしょうか。
が、歩き始めた出会いがしらに「Yo!金くれYo!」という黒人→白人のタカリをいきなり目撃、うわーやべーという負のバイブでいっぱいになってしまいました。東洋系はそれほどいない気配なので、いやボク自然ですよホラこれでもロンドン子ですし、という(つもりの)雰囲気で、めざす”Dingwall”を探してみるものの、少なくとも表通りにはなさそうです。しょうがなく出店などを眺めつつ町の中をもうちょっと深めにさまよってみることに。

私の生命線
カムデンロックマーケットの中に、小川というか水をためている池というかで広場っぽくなっているスペースがあります。そこで一服していると、どこかで聴いた覚えのあるサウンドが耳に入ってきました。バンドの練習っぽくてノイジーですが、フレーズになんとなく聴き覚えがある。ん?と思っていると、まさにBattlesが練習しているところでした。建物のどこにも”Dingwall”って書いてないんですが、たぶんこの界隈なんだろう、ということでロケハンを完了。
開始時刻近くに戻ってくると、人が集まり始めています。A4の紙に本日の演目が書かれているものが1枚入り口に張られているだけ。よく考えると日本だって似たようなもんですが、もうちょっとわかりやすく!と軽く憤りながらチケットのピックアップに並ぶと、若かった頃のジム・オルークのような顔をしたメガネくんに話しかけられます。
「ねえ、チケット買えそうなの?」
「ん? 私は購入しました すでに」
「あーそうなんだ」
後で知ったのですが、前売りはソールドアウトで、彼は当日券目当てだったようです。現在はロンドンでの顔見せ的活動が主体のようですが、それにしてもBattlesは以前よりもパワーアップしている印象です。新曲らしき覚えのないフレーズの曲もあり、そのうち出るんであろうアルバムがとても楽しみになりました。しかしColdcutのときも思いましたが、ライブの反応がこちらはとても熱いですねえ。
最中にはなぜかスタッフがステッカーを配って歩いていて、ここぞとばかりにもらってきました。

The WIREのBattles記事とステッカー
Posted on 2006/04/23, 11:00 PM, by FineTime, under
Excursion.
イングランド北部最大級の町ニューカッスルはタイン川という川沿いにあって、正式にはNewcastle upon Tyneというそうです。タイン川をはさんで北側にニューカッスル、南側にゲイツヘッドという町が広がり、大小さまざまな橋がかかっています。

London King’s Crossから3時間半くらい
町の中心部から地下鉄で30分ほど行くだけで北海に出られる位置関係で、大きな川と海とが時間をおだやかにしています。炭鉱と造船と重工業な古い町が新しくなろうとしている最中、という感じでしょうか。北海はちょっと荒っぽかったけど、肌寒さと人々の表情とにいい雰囲気を感じます。

スチーブンソンさん(たぶん)もニューカッスル・ユナイテッドを応援しておいでです
この地を訪れたのは、シアラー御大やオーウェンのプレーを見たいからというわけではなくて、ゲイツヘッドにあるThe Sageに行くためでした。アルバムSound Mirrorsをリリースしてツアー中なColdcutのギグがここで行われます。
The Sageはかなり面白い造形をしています。新しく生まれ変わろうとしているこの地域のランドマークのひとつとして、足元にはレモンを縦に4分の1カットした(あるいは弦のないハープの)ような形のミレニアム・ブリッジがあり、かなり遠くからでも目立ちます。そもそもレンガ主体の色合いの町でシルバーな外壁は相当目立つのですが、跳ね橋でこの形というのは相当面白い発想です。
The Sageはどうにもすばらしい施設でした。英国産のThe WIREという音楽雑誌があるのですが、この内容をそのまま施設にしたような印象です。クラシカルなシンフォニーからDJセットまでなんでも受け入れつつ、「音楽」というキーワードで結ばれる磁場になっていて、ハイプや産業の香りはせず、楽しみ考える対象としての音楽を広くとらえている感じ。施設内にある書庫には、サウンドカードと鍵盤が接続されたPCが並んでます。ここで聴いた中で一番気に入ったのはこれ。マリのミュージシャンらしいです。
1度訪れただけで判断するわけにもいきませんが、ハコモノ行政な中身スカスカ感もなく、書庫のアーカイブもイベントのスケジュールも充実しているように見えました。ここの書庫自体はそれほどの規模ではないのですが、どれそれはどこの図書館にある、このCDは市内の何とかというショップで買える、といったリファレンスがしっかりしています。こういう施設が日本にもあるといいなあと思いましたが、それこそできた瞬間にハコモノ行政なスカスカ感が漂う恐れもあるのが悩ましいところ。
「Coldcutのギグは中にある一番小さいホールで”Club Style”だよ」と教えてもらいながらオープンを待っていると、隣の大きなホールにぞろぞろと人が。家族連れも結構いるし年齢層もバラバラで、いったい誰?とおもったらErasureでした。Depeche Modeだったらもうちょっとスカした感じの客層になるんだろうか、それともイングランド的にポップミュージックはそういう位置づけなんだろうか、などと異常におっさんくさいポスターなどを眺めつつ考えていました。
で、Coldcut。あれこれと予測はしていなかったのですが、ここまで面白いショウは久しぶりでした。えらく横に長いセットだなあ、と思ってたら計4名が機材群とコード束の背後に並びます。ああ、Coldcutはビジュアルも音楽と同期させてExpressする人たちなんですね。音に合わせてビジュアルもスクラッチされまくり。ビデオカメラで撮った映像をリアルタイムで画面に素材として流す、なんてお約束(これはU2がずっと前にやってますね)もまじえつつ。曲ごとにゲストボーカルが出てくるわ、よりによって”Everything Is Under Control”というタイトルの曲の最中にシーケンスが暴走して演奏を一度中断、マット・ブラックがリズムマシンのパッドを叩いてビートを刻みつつ(手で!)、即席な”What You See Is What You Hear”のライムで復旧まで場つなぎをするという微笑ましいところまで盛りだくさん。
どたばたしつつもオーディエンスのノリもよく、かなり盛り上がりました。こういう感じって日本ではあんまり体験できないなーと「来てよかったな感」でいっぱいになりながら、4月でもやっぱりクソ寒い夜道を帰ろうと歩いていたら、あんちゃん2人に話しかけられました。以下、再現。
「おい、お前Coldcut見たのか?」
「はい そうです」
「俺はPAやってるピーターってんだ」
「本当ですか それは?」
「ああ!どうだった?」
「とても 最高 私 おもいます よかった 訪問して 私」
「ん?おまえどっから来たの?」
「日本からです」
「おお、ホリデイか!な!マッドで最高だったろ?このノリをさ、お前の国でも広めてくれよ!」
「もちろんです! 私 思います また 見たいです 楽しみです 私」
スタッフにとっても結構よいセットだったようで、彼らもかなりホクホクしていて、握手した手にキスされるわハグされるわの歓待を受けました。ちょうど金曜日の夜だったこともあって結構な賑わいの中、ニューカッスルの坂道を登ったり降りたりしながら帰路についたのでした。

右下がゲイツヘッド、左下がセントラルステーション、左上がセント・ジェームズ・パークです